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家の性能 徹底解説

2019.09.06

災害に強い家を建てるための3つのポイント|新築時の火災・水災・風災対策【地震・災害・シロアリ対策④】

新築時の火災・水災・風災対策

 

地震対策をしていない住宅会社はないと思いますが、地震より被害確率が高い、火災・水災・風災対策が不十分な住宅会社がとても多いです。まずは、火災・水災・風災の現状を知り、災害対策の必要性を理解していきましょう。

火災・水災・風災の被害確率は意外と高いのに・・・

①火災
2018年1~12月の建物火災発生件数は、20,703軒。1日あたり55軒起きていることになり、最も身近な災害と言えるかもしれません。また、建物火災による死者数は、1,137人です。

<平成30年火災発生件数>
年間火災発生件数
(出典:総務省消防庁)

②水災
平成29年1~12月の、全壊437軒、半壊2137軒、床上浸水8,348軒、床下浸水18,509軒でした。火災件数が約2万軒なので、床下浸水の被害にあう確率は、火災と同程度といえます。発生軒数から考えると、火災だけではなく、床下浸水にも十分備えが必要であることは間違いありません。

<平成29年1~12月水災発生軒数>
年間水災発生件数。床下浸水の軒数が最も多い。
(出典:政府統計ポータルサイト)

また、床下浸水の原因となる氾濫には2種類あります。河川の氾濫などの「外水氾濫」と、ゲリラ豪雨などで下水道があふれてしまう「内水氾濫」ですが、見落としがちなのが「内水氾濫」です。少しずつ「内水氾濫」のハザードマップも整備されてきているので、確認するようにしましょう。

<外水氾濫と内水氾濫>
外水氾濫と内水氾濫。内水氾濫はどこでも起きる。
(出典:ユニバーサルホーム)

③風災
風災のほとんどが、台風被害です。2019年の主な台風被害は、台風21号と台風24号でした。

保険支払件数は、台風21号と台風24号の合計で1,085,193,軒。日本全国総戸数が6000万軒ほどですので、約55軒に1軒が被害を受けたという計算になります。かなり高い数字です。(この数字には、無保険で被害を受けた軒数は含まれていませんので、被害実数はこれより多いと推定されます。)

<台風21号・24号の被害件数>
台風21・24号の風災(台風)保険支払い件数。
(出典:日本損害保険協会)

もちろん、2019年が台風被害が多かったため、毎年この確率というわけではないですが、昨今の異常気象を考えると、今後も同等の確率で被害が起きる可能性は十分にあると考えられます。

では、被害金額はどうでしょうか?台風21号と台風24号の保険支払金額合計が、約1兆1454億円なので、平均は約105万円となります。これもそこそこ高い数字です。我が家も飛んできた瓦の被害を受け、約60万円の保険の支払いを受けました。

<風災保険の保険金>
台風21・24号の風災(台風)保険支払い保険金額
(出典:日本損害保険協会)

【結論】ちょうどいい塩梅の『火災・水災・風災対策』は?

ちょうどいい塩梅の「火災・水災・風災対策」は、以下の通りです。

①火災対策 ⇒ 省令準耐火構造
②水災対策 ⇒ 地盤から45cm開口無
③風災対策 ⇒ 1階シャッター ※風災補償付きの火災保険加入

※ちょうどいい塩梅の「●●」とは・・・やりすぎずやらなさすぎず。建材のレベルは、ある一定まで上がるとそれ以降は費用対効果が悪くなるので、その手前(最も費用対効果が高いところ)で止めましょう、という”ちょうどいい塩梅主義”に基づいてセレクトされた推奨レベル。

①火災対策:省令準耐火構造にすべき理由

省令準耐火構造にすべき理由は、(木造住宅の場合)実質o円で、火災に強い家にすることができるからです。

省令準耐火(しょうれいじゅんたいか)構造って何?という方が多いと思いますが、省令準耐火構造の細かい規定は覚えなくいいです。以下の通り、外部からの火災をもらいにくく、室内の火災も燃え広がりにくい構造になるんだな~と理解しておいてもらえればOKです。

省令準耐火構造の解説
(出典:住宅支援金融機構)

省令準耐火構造にすると、火災に強くなることはもちろんなのですが、もう一つメリットがあります。それは、木造住宅の火災保険料が半額程度になるということです。火災保険料は必ず加入しますので、必ず安くなるということですね。地震保険も、加入する場合は安くなります。

省令準耐火構造にすることで、費用は10万円前後upしてしまうのですが、2,000万円ほどの家ならば、火災保険料が10万円以上は安くなると思いますので、いきなり元が取れるということです。

実質0円で火災に強い家になるならば、やるしかないよね!ということです。

省令準耐火構造にすると、火災保険と地震保険が安くなる。通常の約半額!

(出典:吉野石膏)

 

省令準耐火以外の火災対策

建物火災の発生原因から、省令準耐火構造以外の火災対策を考えていきましょう。

■火災発生原因
1位 こんろ
2位 たばこ
3位 防火
4位 ストーブ
5位 配線器具

<火災発生原因別の件数>
建物火災の出火原因
(出典:総務省消防庁)

こうして見ると、家を建てる時というよりも、家を建てた後の生活で気を付ける点が多いですね。それぞれ対策をざっと確認しましょう。

1位 こんろ
データはありませんが、ほとんどが、ガスコンロと推定されます。火災対策だけでなく、省エネ性も含めて、IHコンロを推奨します。鍋を振りたい!と言う方はガスコンロになってしまいますが、それ以外の方は迷わずIHコンロで良いかと思います。

出火原因の第一位はコンロ。ガスコンロからIHへ。

2位 たばこ
これは、たばこを吸う人に「気を付けて下さい!」としか言えません。そもそも家の中での喫煙は、副流煙による家族の健康被害を招きますので、やめていただきたいところです。

たばこの不始末が出火原因が第二位。副流煙の影響もあるので室内は禁煙に。

3位 放火
まず、敷地内に死角を作らないことです。次に、家の周りに段ボールなどの可燃物を置かない事。そして、ご近所さんとお付き合いしておくことです。玄関先に、人感センサーの照明を付けることも効果的ですね。

放火されにくいように、可燃物を置かない。死角を作らない。

4位 ストーブ
ストーブを使わなくても、暖かい家にしましょう。そのためには、第一章「断熱・気密・換気性能」で紹介した、ちょうどいい塩梅の「窓』」「断熱」「気密」「換気システム」をクリアするようにしましょう。

ストーブは、火災の原因になるとともに、二酸化炭素上昇の原因に。

5位 配線器具
コンセントのトラッキング火災ですね。プラグの上にほこりがたまっておきる火災なので、基本対策は、コマめな掃除です。トラッキング火災対策のコンセントもあるので、これから買う人は検討してください。特に、水回りのコンセントが要注意です。

コンセントのほこりはこまめに掃除がを。トラッキング火災。

「準防火構造と省令準耐火構造は違うの?」に対して

全く違います。

準防火構造は、準防火地域に指定されたエリアで家を建てるときに、義務付けられる仕様です。

準防火地域での準防火構造は、”義務”なので、施主に選択権はありません。準防火地域の土地を選んだ時点で、確定です。窓を防火窓にする(orシャッターを付ける)などの対策が必要で、坪3~4万円くらい予算がupします。

<準防火構造とは?>
準防火構造の解説。省令準耐火とは全くの別物で、準防火地域では義務。
(出典:ケイミュー)

一方、省令準耐火構造は、”任意”なので、施主に選択権があります。義務ではありません。

また、ほとんど住宅会社の標準仕様は、省令準耐火になっていませんので、施主自らが言わないといけません。「火災に強くなって火災保険料も安くなるので、省令準耐火にしておきましたよ~」なんて言ってくれる営業マンは、非常に少ないです。

省令準耐火構造で火災保険料が安くなることなど、ほとんどの施主が知らないため、省令準耐火構造にしたところで、契約を取るためのアピールにならないからだと思います。

ちなみに、準防火構造にしたとしても、省令準耐火構造になるわけではないので、ご注意ください。準防火と省令準耐火は全くの別物です。ややこしいですが、お気を付けください。

省令準耐火は任意で保険が安くなる。準防火はエリアによっては義務で保険は安くならない。

 

「太陽光パネルは、火災の原因になりませんか?」に対して

「太陽光パネルが発火し、屋根に延焼した!」というニュースが、話題になりました。

万が一、太陽光パネルが発火しても、屋根が不燃材になっているので、家には延焼しない”はず”でしたが、今回7件が屋根側に延焼してしまいました。この延焼の原因は、記事にもありますが「屋根一体型太陽光パネル」です。

太陽光発電の発火事故の記事。屋根一体型太陽光パネルが原因。

屋根一体型の太陽光パネルは、屋根一体型というより、”屋根なし工法”と言った方が良いでしょう。太陽光パネルを屋根として使うので、文字通り屋根がなく、太陽光パネルの火がそのまま家に延焼してしまったわけです。

<太陽光パネルから火が延焼した屋根>
屋根一体型太陽光パネルによる、火災現場写真。
(出典:相模原市消防局)

この”屋根なし工法(屋根一体型の太陽光パネル)”は、業界内では前から「ありえない」工法として有名でしたが、こうして白日の目にさらされたことで、今後は使われることはなくなると思います。

念のため、「屋根一体型太陽光パネル」は絶対に選ばないように、頭の片隅に入れておいてください。

<屋根一体型パネル例>
推奨しない火災リスクの高い屋根一体型太陽光パネルの例。
(出典:某住宅会社)

 

②水災対策:地盤から45cm開口無にすべき理由

床下浸水の対策は、基礎の開口をなくすことです。当然ですが、基礎に開口がなければ床下浸水はなく、水災が多い地域で、基礎を高くすることがあるのはそのためです。

「地盤から45cm開口無」にすべき理由は、水災保険の適用条件に「地盤から45cm超の浸水」とあるためです。地盤から45cm以下の浸水による床下浸水は、保険金がおりないということです。この事実は意外と知られていません。

反対に、地盤から45cm超の浸水による床下浸水や床上浸水(浸水高さ不問)には、保険金がおります。もちろん、被害に合わないのが理想ではありますが、自然相手で100%の対策は無理ですから、せめて保険金が下りないリスクを回避すべきと考えています。

<水災の”45cm”規定>
水災保険の対象は、地盤面から45㎝を超える浸水の時のみ。45㎝以下の床下浸水は対象外なので注意が必要。
(出典:SBI損保)

 

45cm以下の浸水による床下浸水を防ぐ方法

では、具体的な対策を説明します。もちろんこの対策をしても、45cm以下の浸水による床下浸水を100%防ぐことは難しいですが、大きくそのリスクを抑えることはできます。

まず、基礎の見え高を45cm以上にしましょう。見え高とは、地盤の表面から基礎の上までの高さのことです。基礎高は40cm以上が基本なので、そのままでも悪くはないですが、設計時のGL設定によって45cm以上にすることは可能なので、「基礎の見え高を45cm以上にしてください」と伝えてみましょう。

基礎の見え高を45cm以上にしよう

次に、基礎を貫通する配管のコーキング処理をしましょう。特に、高効率給湯器の配管が基礎を貫通することが多いと思うので、注意が必要です。

また、住宅基礎の保護材(一般的にハウスシューズと呼ばれます)を塗装するようにしましょう。これにより、基礎の打ち継ぎ部分からの浸水リスクを抑えることができます。

最後に、換気システムの給排気口が、基礎部分に設置される場合は、給排気口を積雪地域仕様にするなどして、地盤から45cm以内の高さに開口がないように調整してください。

<住宅基礎の保護材(ハウスシューズ)>
住宅基礎の保護材(ハウスシューズ)
(出典:日東エルマテリアル)

 

「水災保険の加入は必要?」に対して

ハザードマップを確認し、自分の土地が、外水氾濫と内水氾濫のいずれもハザードエリアに入っていなければ、外してもよいかと思います。気を付けるべき点は、外水氾濫のハザードマップだけで判断せず、内水氾濫も念頭にいれておくことです。

ゲリラ豪雨などで下水道があふれてしまう内水氾濫は、あらゆる場所で起きる可能性があるので、必ず内水氾濫のハザードマップも確認するようにしましょう。

<内水氾濫のハザードマップ>
内水氾濫のハザードマップ。整備されていない地域が多い。

内水氾濫のハザードマップが整備されていない地域の場合は、判断が難しいのですが、迷ったら加入しておくのが無難かと思います。特に都心部では、舗装された面積が多いことを要因に、内水氾濫の割合が増える傾向にありますので、ご注意ください。

<ハザードマップの整備状況>
外水氾濫と内水氾濫のハザードマップの整備状況比較。
(出典:氾濫解析)

<外水氾濫と内水氾濫の被害額の割合>
全国と東京の外水氾濫・内水氾濫それぞれの被害額。都心部は内水氾濫の被害額が大きい。
(出典:国土交通省)

 

 

 

③風災対策:1階シャッターを設置すべき理由

台風が来た時は、絶対に家の外に出ないことが基本ですが、心配なのは、飛来物によるけがです。飛来物による窓ガラス損傷を防ぐためには、シャッター設置が有効。昔でいう雨戸ですね。

理想は、すべての窓へのシャッター設置ですが、それなりにコストも上がりますので、家族の安全空間を確保するという意味で、「1階シャッター設置」を推奨します。小窓はシャッターはつけられませんので、引き違い窓や、掃き出しテラス窓が対象になります。

私自身、2018年台風21号の被害を経験したのですが、台風通過中には、いろんな飛来物(瓦や樋など)が我が家に衝突しました。幸い、飛来物の窓への衝突はなかったのですが、シャッターを閉めた室内で過ごせたことは、心理的な安心につながりました。

<風災対策は1階シャッター設置>
台風対策は、1階にシャッターを付けるところから。

また、火災保険には入るときに、必ず風災補償を付けるようにしましょう。風災の保険適用認定は、かなり緩いため、風災被害による金銭的な負担は、風災補償付き火災保険で十分賄えます。ちなみに、平成29年台風被害の保険認定率は、約90%でした。ほぼ認定されるということです。

<台風被害の保険認定率>
台風21・24号の風災(台風)保険の保険認定率。認定率は約90%でかなり高い。

 

「空き巣対策のためにもシャッターは必須だと思うのですが?」に対して

そうですね。防犯面でもシャッターは役に立ちます。シャッターを閉じれば、下部でロックがかかるので、外側からは開けにくくなります。

といいつつ、シャッターをすべての窓に付けて、防犯フィルムを貼って、セキュリティシステムを導入して…とすると、コストはどんどん上がってきますので、シャッター以外で、”さほどお金をかけずにできる空き巣対策”を紹介します。

空き巣は防げる。狙われにくい家にすることが大切。

ポイントは、”狙われにくい家”にすることです。

・録画機能付きのインターホンにする
空き巣は、留守確認のために、インターホンを鳴らすことがあります。録画されるのはもちろん嫌います。

・外部に人感センサー照明を設置する
当然空き巣は、見えやすくなることを嫌いますので、予防効果があります。

・泥棒に狙われにくい玄関ドアにする
鍵穴が隠れているタイプや、複数錠で開錠してもしばらくすると自動で閉じるタイプなどがあります。あえて開けにくい玄関ドアを選ぶ泥棒はいません。

防犯性の高い玄関ドア
(出典:YKK AP)

・現金を置かない
プロの空き巣は、ATMで現金を下ろすタイミングなどの生活リズムを調べた上で、空き巣行為に及ぶと言われています。なので、現金を家に置いておく習慣は、泥棒に狙われやすい要因になると言えます。

・死角を作らない
これは説明不要ですね。最近は、塀などをつくらない「オープン外構」が流行っていますので、それでいいと思います。

・ご近所付き合いをしておく
これも説明いらないですね。日頃から連絡を取り合っていれば、何か家に異変があれば、知らせてくれるでしょう。見慣れない人がいたら、不審者として注意してくれるはずです。

・ベランダの鍵を閉め忘れない
空き巣のベランダからの侵入は多いのですが、ついつい2階だからと油断してしまうことがあります。ご注意ください。

他にも空き巣対策はありますので、さほどお金を掛けずともできる対策をまず取った上で、さらなる空き巣対策費用をかけるかどうか、を検討していきましょう。

カギの閉め忘れに注意が必要なベランダ

 

まとめ

ちょうどいい塩梅の「火災・水災・風災対策」は、以下の通りです。

①火災対策 ⇒ 省令準耐火構造
②水災対策 ⇒ 地盤から45cm開口無
③風災対策 ⇒ 1階シャッター ※風災補償付きの火災保険加入

プロデューサー紹介

master

日本の家づくり 強化ディレクター

瀬山 彰

筑波大学理工学群数学専攻卒(数理統計学士号)。硬式野球部に所属し、首都大学野球リーグの線形回帰分析を行う。中学高校の数学教員免許を取得。

筑波大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードを確立することを目標に掲げる。

2015年、「家づくり せやま学校」を開校。“日本の施主を強くする”を合言葉に、施主の知識向上を目的とした講演活動をスタートさせた。「展示場では絶対教えてくれない話が聞けた!」「こんな楽しい授業は初めて!」など、口コミでせやま学校の評判が広がり、各メディアからも注目が集まっている。

関西を中心に年間100件以上の講演をこなしながら、雑誌コラムの連載やFMラジオ局「FMOH!」にて冠番組のDJを務めるなど、活躍の場を広げている。

中学高校数学教員免許、宅地建物取引士、2級FP技能士。3人娘(双子4歳、2歳)。広島県出身、広島カープファン。

【メディア出演】
◾️FMOH!85.1 毎週火曜19:00〜
「瀬山彰 NEXT STANDARD LIFE」
◾️子育て情報誌 「まみたん」対談連載
「THE PROFESSIONAL」

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