家の性能 徹底解説

2019.09.07

良い間取りの超基本ルール「1階完結型の間取り」|理想は平屋!【良い間取りの共通点①】

間取りの理想は平屋です。平屋にできる広さの土地なのに2階建ての家を建てて、「年取ったら2階にはほぼ上がらないよ…」なんて声はよく聞きます。実にもったいない。もう一度言います。平屋が理想です。

とはいえ、土地面積の兼ね合いで平屋が難しい場合も多いかと思います。そんなときは、「1階完結型の2階建て」をおススメします。メインは1階、2階はおまけ!これだけ理解してもらえればOK。

 

間取りの理想は平屋

 

1階完結型の間取りとは?

「1階完結型の間取り」とは、1階を優先し、2階は寝るだけのおまけと考えていきましょう、ということ。間取りづくりの全てに通じる超基本ルールです。

日本は平地が少なく土地が狭いため、やむなく2階建ての家が多いのですが、使い勝手を考えると平屋がベスト。リビングも主寝室も同じ階にあるので、階段の昇り降りがなく、ストレスなく家の中を移動することができます。

マンションの間取りもいいです。洗面所とベランダが同じ階にあるのがいいですよね。また、子育て世代にはマンションは手狭で、音も気になりますが、老後の生活にはピッタリです。階段がなく、適度な広さですからね。

<老後の生活に、平屋・マンションは最適>
マンションは老後も安心して暮らせる間取り

 

【結論】「1階完結型の間取り」を実現する4つのポイント

「1階完結型の間取り」をつくるポイントは、以下の通りです。

①収納は1階に充実させる
②2階は寝るだけと割り切る
③2階リビング/3階建ては極力避ける
④老後も暮らすなら1階だけで1LDKを作る

 

①収納は1階に充実させる

収納をとにかく1階に充実させましょう。

代表的なのが、衣類。まず、「ウォークインクローゼットは2階主寝室!」という思いこみを一回捨ててみましょう。しばらく使わない衣類は2階でもいいのですが、普段使う服は、1階に置いておいた方が動線は絶対に良くなります。

「ウォークインクローゼットは2階主寝室!」にした方が、確かに1階が広く使えるのですが、着替えの動線は確実に悪くなります。1階にウォークインクローゼットを設置できないか?ウォークインが無理でも、普段使いの衣類を収納するスペースを作れないか?と考えてみてください。

収納に関する詳細は、「生活感のない家」を作るための収納基本ルール5選で解説しますが、衣類だけでなく、食材、靴、書類、筆記用具、生活小物など、1階に収納すべき荷物は意外と多いですよね。

<1階にクローゼットを配置すると動線が楽に>

ウォークインクローゼットは1階に配置したほうが効率的

 

「全ての荷物を1階に収納するのは無理なのでは?」に対して

もちろん全ての荷物を1階に収納することは無理なので、2階にも収納は必要です。

基本的に2階の収納は、扇風機やひな人形などの季節ものを収納する納戸的役割を果たします。衣類であれば、2階のクローゼットと季節ごとに入れ替えましょう。

このように、毎日使う荷物を1階に収納することで、階段昇降1日1往復(寝るとき昇って、起きるときに降りるのみ)に近づくことができます。

<2階の収納は納戸的役割に>
2階の収納は納戸的役割を期待

 

②2階は寝るだけと割り切る

2階は寝るだけと割り切りましょう。2階を目いっぱい充実させて、寝室のみを2階に作る、というイメージ。1人部屋なら、4.5畳で十分。2階はコストカットの対象であり、主寝室も寝るだけなら、6畳で十分です。

こうして2階をコストカットし、その分とことん1階を充実させましょう。リビングを広くとることはもちろん、できる限り収納を1階に充実させて、機能性の高い間取りを完成させましょう。

<2階は寝るだけと割り切ろう>
寝室は寝るだけと割り切り、主寝室は6畳、子ども部屋は4.5畳で十分

 

「子ども部屋4.5畳は、狭くてかわいそう!」に対して

子どもを思う気持ちは分かりますが、よくよく考えてみてください。主寝室は、2人で使うのに最低6畳ですから、一人当たりだと3畳です。一生懸命働いて子育てしていている親が3畳で、子どもが4.5畳ってむしろ贅沢では?

というのは半分冗談ですが、子どもに1人部屋が必要な期間は、小学校高学年~高校・大学くらいでしょう。となると10年程度、高校で家を出れば5年程度です。子どもが出ていった部屋は、荷物置き場になるのが関の山です。

このように、子どもに1人部屋が必要な期間は意外と短いので、子ども部屋を大きくするくらいなら、リビングや主寝室を大きくした方が、長年活用できる有益な空間になりますよ、ということです。

 

<20歳前後で子ども達は家を出る>

子ども部屋が必要な期間は意外と短い
(出典:引越侍)

 

③2階リビング・3階建ては極力避ける

繰り返しますが、大切なのは、階段の昇り降りの頻度です。

2階リビングは、日当たり良かったり、洗面→ベランダが同フロアだったり、メリットは当然ありますが、階段の昇り降りの頻度がおのずと高くなってしまいます。リビング1階でも、洗面所を2階にする間取りも、同様の理由でオススメしません。(洗濯機のみなら最悪可能)

3階建ては、土地が小さくてもいいので、総予算が下げられるというメリットはありますが、1階が駐車場になる場合がほとんどなので、2階がリビングになります。そうなると、結果は同じです。できるだけ避けたい間取りです。

<極力、極力、3階建ては避けよう>
3階建ては必然的に2階リビングとなり、避けたい間取りの代表例

 

「駅近で土地を探すと、どうしても3階建てになるんですが?」に対して

おっしゃる通りです。その場合の選択肢は、3つです。

まず、月々支払いが余裕なら、価格が高くても2階建てを建てられる土地を買ってしまいましょう。土地の価格は目減りしないので、貯金みたいなものです。ローン控除をフルに使えば、よりお得に感じられるはずです。

次に、月々支払いを増やせない場合は、中古マンションを検討しましょう。駅近の3階建てとなると、土地ありきで購入する人が多いので、建物の質はかなり低いはずです。メリットは駅に近いだけで、階段昇降ばかりの住環境最悪の家に住み続けるくらいなら、階段無しの住環境まずまずの中古マンションをおススメします。

最後に、夫婦で再度話し合いを、という場合。本当に駅近が必要か?自転車でいけるんじゃない?最悪タクシー使えばよくない?車通勤すれば?てか駅近が必要なのはあんた(夫)だけじゃない?など、今一度話し合うことで、意外と駅近でなくてもいけるという結論に至ることがあります。

いずれにしても、3階建ての家は、性能も低い家がほとんどなので、本当にオススメしません。将来売りたいとなった場合も、これからさらに人口が減っていき、土地が余ってくるので、3階建てのニーズは減ります。土地としても、2階建てが建てられないサイズは売りにくいです。

<空き家の増加推移>

3階建ての家は、空き家が増える将来売りにくい
(出典:新建ハウジング)

 

④老後も暮らすなら1階だけで1LDKを作る

歳をとると、2階には上がらなくなります。子供がいるうちは2階に部屋が必要ですが、子供が家を出ていったあとは、夫婦2人ですからね。2階は、ただの収納スペースになってしまいます。

なので、1階だけで夫婦2人が暮らせるような間取りを意識しましょう。目いっぱい1階を充実させて、足りない部分を2階に持っていく。基本は1階、主役は1階と言う意識を強く持つことが大切です。

ただし、老後に戸建は売って、マンションに引っ越すよ、という方は意識しなくても大丈夫ですよ。

老後のために、1階で1LDKを完結させる間取りが理想的

 

「そんなに1階を充実させると、リビングが狭くならないの?」に対して

土地の広さには限界があるため、1階の広さにも限界があるのは、確かに事実です。しかし一方で、今建てられている家の間取りの多くが、無駄なスペースだらけだということも事実です。

この無駄なスペースを極限まで減らし、1階完結型の考え方を基本に間取りづくりを進めれば、完璧は無理でも、広いリビングと1階の機能充実は両立できると考えています。無駄なスペース削減の具体的方法は、『コンパクトなのに広く感じる家』に共通する3つの条件でどうぞ。

例えば、土地の形にもよりますが、27坪の土地に、

・駐車場1台、自転車4台
・LDK16畳+和室4.5畳
・洗面所3.5畳
・シューズクローク
・キッチン255cm+カップボード270cm

これくらいは十分入ります。個人情報の関係で、具体的な間取りはお見せできませんが、実際に大阪で建った家です。1階は無理だったので2階に回そうと安易に考えずに、なんとか1階を充実させることができないか?と考えてみましょう。

また、リビングは広さよりも開放感が大切ですので、畳数にこだわりすぎることは危険です。リビングの解放感は、畳数だけではなく、窓の配置や高さ、さらには、LDKの形や家具の配置によって大きく変わってきますからね。

高さを活用する工夫で、実際の広さ以上に開放感を感じさせるリビング

まとめ

「1階完結型の間取り」をつくるポイントは、以下の通りです。

①収納は2階に充実させる
②1階は寝るだけと割り切る
③2階リビング/3階建ては極力避ける
④老後も暮らすなら1階だけで1LDKを作る

プロデューサー紹介

master

日本の家づくり 強化ディレクター

瀬山 彰

筑波大学理工学群数学専攻卒(数理統計学士号)。硬式野球部に所属し、首都大学野球リーグの線形回帰分析を行う。中学高校の数学教員免許を取得。

筑波大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードを確立することを目標に掲げる。

2015年、「家づくり せやま学校」を開校。“日本の施主を強くする”を合言葉に、施主の知識向上を目的とした講演活動をスタートさせた。「展示場では絶対教えてくれない話が聞けた!」「こんな楽しい授業は初めて!」など、口コミでせやま学校の評判が広がり、各メディアからも注目が集まっている。

関西を中心に年間100件以上の講演をこなしながら、雑誌コラムの連載やFMラジオ局「FMOH!」にて冠番組のDJを務めるなど、活躍の場を広げている。

中学高校数学教員免許、宅地建物取引士、2級FP技能士。3人娘(双子4歳、2歳)。広島県出身、広島カープファン。

【メディア出演】
◾️FMOH!85.1 毎週火曜19:00〜
「瀬山彰 NEXT STANDARD LIFE」
◾️子育て情報誌 「まみたん」対談連載
「THE PROFESSIONAL」

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