老後も安心!1階完結型の間取りを実現するための超基本ルールとは?

老後も安心!1階完結型の間取りを実現するための超基本ルールとは? | 最重要記事

「老後には2階に上がらないよ…」なんて声はよく聞きますよね。老後も安心して暮らせる間取り「1階完結型の間取り」のポイントをご紹介していきます。

間取りの理想は平屋

1階完結型の間取りとは?

「1階完結型の間取り」とは、2階に上がらなくても1階だけで生活が完結できる間取りのこと。土地が許す限り1階を目いっぱい充実させ、1階に確保できなかった部屋を2階に配置します。平屋やワンフロアのマンションを理想とした間取りとも言えます。

なので、「1階完結型の間取り」においては、とにかく「2階はおまけ」と考えることが大切です。若いうちは、寝るときだけ2階に上がり、老後は、2階に上がらずに生活できる間取りにします。もちろん、土地が広い場合は、まず平屋を検討してくださいね。

では、老後も安心して暮らせる「1階完結型の間取り」つまり”ほぼ平屋”の作り方を解説していきます。

<老後の生活に、1階完結型の間取りは最適>
マンションは老後も安心して暮らせる間取り

【結論】「1階完結型の間取り」を実現する4つのポイント

「1階完結型の間取り」をつくるポイントは、以下の通りです。

①収納は1階に充実させる
②2階は寝るだけと割り切る
③2階リビング/3階建ては極力避ける
④老後も暮らすなら1階だけで1LDKを作る

①収納は1階に充実させる

収納をとにかく1階に充実させましょう。

代表的なのが、衣類。まず、「ウォークインクローゼットは2階主寝室!」という思いこみを一回捨ててみましょう。しばらく使わない衣類は2階でもいいのですが、普段使う服は1階に置いておいた方が動線は確実に良くなります。

1階にウォークインクローゼットを設置できないか?ウォークインが無理でも、普段使いの衣類を収納するスペースを作れないか?と考えてみましょう。衣類だけでなく、食材・靴・書類・筆記用具・生活小物など、1階に収納すべき荷物は意外と多いはずです。

関連記事:「生活感のない家」を作るための収納基本ルール5選|収納の失敗パターンとは?

<1階にクローゼットを配置すると動線が楽に>

『全ての荷物を1階に収納するのは無理なのでは?』に対して

もちろん全ての荷物を1階に収納することは無理なので、2階にも収納は必要です。

基本的に2階の収納は、扇風機やひな人形などの季節ものを収納する納戸的役割を果たします。衣類であれば、2階のクローゼットと季節ごとに入れ替えましょう。

このように、毎日使う荷物を1階に収納することで、階段昇降1日1往復(寝るとき昇って、起きるときに降りるのみ)に近づくことができます。

<2階の収納は納戸的役割に>
2階の収納は納戸的な役割

②2階は寝るだけと割り切る

2階は寝るだけと割り切りましょう。1階を目いっぱい充実させて、寝室のみを2階に作る、というイメージ。1人部屋なら、4.5畳で十分。2階はコストカットの対象であり、主寝室も寝るだけなら、6畳で十分です。

こうして2階をコストカットし、その分とことん1階を充実させましょう。リビングを広くとることはもちろん、できる限り収納を1階に充実させて、機能性の高い間取りを完成させましょう。

<2階は寝るだけと割り切ろう>
主寝室は寝るだけと割り切れば、5.2~6畳で十分

『子ども部屋4.5畳は、狭くてかわいそう!』に対して

子どもを思う気持ちは分かりますが、よくよく考えてみてください。主寝室は、2人で使うのに最低6畳ですから、一人当たりだと3畳です。一生懸命働いて子育てしていている親が3畳で、子どもが4.5畳ってむしろ贅沢では?

というのは半分冗談ですが、子どもに1人部屋が必要な期間は、小学校高学年~高校・大学くらいでしょう。となると10年程度、高校で家を出れば5年程度です。子どもが出ていった部屋は、荷物置き場になるのが関の山です。

このように、子どもに1人部屋が必要な期間は意外と短いので、子ども部屋を大きくするくらいなら、リビングや主寝室を大きくした方が、長年活用できる有益な空間になりますよ、ということです。

関連記事:朗らかで賢い子どもが育つ間取り4カ条|子供の安全を守る間取りとは?

<20歳前後で子ども達は家を出る>
子ども部屋が必要な期間は意外と短い
(出典:引越侍

③2階リビング・3階建ては極力避ける

繰り返しますが、大切なのは、階段の昇り降りの頻度です。

2階リビングは、日当たりが良かったり、洗面→ベランダが同フロアだったり、メリットは当然ありますが、階段の昇り降りの頻度が高くなってしまいます。リビングが1階でも、洗面所を2階にする間取りも、同様の理由でおすすめしません。(洗濯機のみなら最悪可能)

3階建ては、土地が小さくてもいいので、総予算が下げられるというメリットはありますが、1階が駐車場になる場合がほとんどなので、2階がリビングになります。そうなると、結果は同じです。できるだけ避けたい間取りです。

関連記事:家事を楽にするための5つのSTEP|家事が大変になる失敗間取りとは?

<極力、極力、3階建ては避けよう>
3階建ては必然的に2階リビングとなり、避けたい間取りの代表例

『駅近で土地を探すと、どうしても3階建てになるんですが?』に対して

おっしゃる通り。その場合の選択肢は、3つです。

まず、月々支払いが余裕なら、価格が高くても2階建てを建てられる土地を買ってしまいましょう。土地の価格は目減りしないので、貯金みたいなものです。ローン控除をフルに使えば、よりお得に感じられるはずです。

次に、月々支払いを増やせない場合は、中古マンションを検討しましょう。駅近の3階建てとなると、土地ありきで購入する人が多いので、建物の質はかなり低いはずです。メリットは駅に近いだけで、階段昇降ばかりの住環境の悪い家に住み続けるくらいなら、階段無しの住環境まずまずの中古マンションをおすすめします。

最後に、夫婦で再度話し合いを、という場合。本当に駅近が必要か?自転車でいけるんじゃない?最悪タクシー使えばよくない?車通勤すれば?てか駅近が必要なのはあんた(夫)だけじゃない?など、今一度話し合うことで、意外と駅近でなくてもいけるという結論に至ることがあります。

いずれにしても、3階建ての家は、性能も低い家がほとんどなので、本当におすすめしません。将来売りたいとなった場合も、これからさらに人口が減っていき、土地が余ってくるので、3階建てのニーズは減ります。土地としても、2階建てが建てられないサイズは売りにくいです。

<空き家の増加推移>

3階建ての家は、空き家が増える将来売りにくい
(出典:新建ハウジング

④老後も暮らすなら1階だけで1LDKを作る

老後になると、2階には上がらなくなります。子供がいるうちは2階に部屋が必要ですが、子供が家を出ていったあとは、夫婦2人ですからね。2階は、ただの収納スペースになってしまいます。

なので、1階だけで夫婦2人が暮らせるような間取り(1階だけで1LDK )を意識しましょう。1階に部屋がないと、老後も2階に上がるか、リビングで寝ることになります。

ただし、1階に立派な主寝室を確保するとリビングや収納を圧迫するので、おススメは「リビング併設の3.1~3.7畳の和室」です。敷き布団が2枚敷ければ寝室になりますし、若いうちはリビングの一画として、子どもの遊び場にでもすれば良いですね。

ちなみに、老後に戸建は売って、マンションに引っ越すよ、という方はここまで意識しなくても大丈夫です。

老後の主審室となるリビング併設の和室

『そんなに1階を充実させると、リビングが狭くならないの?』に対して

土地の広さには限界があるため、1階の広さにも限界があるのは、確かに事実です。しかし一方で、今建てられている家の間取りの多くが、無駄なスペースだらけだということも事実です。

この無駄なスペースを極限まで減らし、1階完結型の考え方を基本に間取りづくりを進めれば、完璧は無理でも、広いリビングと1階の機能充実は両立できると考えています。

関連記事:「コンパクトなのに広く感じる間取り」に共通する3つの条件|間取りにメリハリをつける方法

例えば、以下YouTubeでご紹介した家の土地面積は、なんと22.4坪(駐車場無し)です。駐車場を確保した場合でも、土地面積が26~27坪くらいあれば、これくらいの1階完結型の間取りにすることは可能なので、参考にしてください。

まとめ

「1階完結型の間取り」をつくるポイントは、以下の通りです。

①収納は1階に充実させる
②2階は寝るだけと割り切る
③2階リビング/3階建ては極力避ける
④老後も暮らすなら1階だけで1LDKを作る

関連記事:優秀な「プランナー」を見極める方法|優秀なプランナー20の特徴


【文責:瀬山彰】

PROFILE

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せやま大学の人

瀬山 彰

大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。

「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。

娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。

間取り実例(せやまどり)

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