家づくりコラム&ニュース

2018.11.28

『全館空調って導入すべき?』~全館空調の問題点とリスクを考える~

全館空調とは?

エアコン一台で全部屋を一定の温度にできるシステムのことです。家のどこか(ほとんどが内部)に大容量のエアコンを設置し、そこで集中的に空気を暖めます(冬の場合)。そして、その暖めた空気をダクト経由で、各部屋に供給していきます。

メリットは、それぞれの部屋にエアコンをつけなくていいので、室内のデザインがすっきりすることが挙げられます。また、全館空調を採用している会社のキャッチコピーとして、導入コストメリットやランニングコストメリットをうたっていますが、本当にそうなのか?と疑問を持たざるを得ません。


(出典:某住宅会社)

全館空調の問題点

換気システムのメンテナンスの記事で少し触れましたが、全館空調はメンテナンス性が非常に悪い。つまり維持管理にかなりのお金がかかり維持管理にお金をかけないと、全館空調が正常に稼働せず、ダクト内のほこりやカビによって健康被害の原因をつくってしまうということです。

『換気システムの選び方で、最も大切なのはメンテナンス』~住環境④「換気システム」後編~

まず、ダクト経由で室内に空気を供給するため、ダクトの汚れ(ほこりやカビ)がそのまま室内に送られることになります。なので、常にダクトを清潔に保つ必要があり、年間数万円のダクト清掃工事が必要になります。これ、毎年必ず清掃工事をする自信ありますか?もし、清掃工事を実施しなければ、ほこりカビ供給空調システムになるってことです。


(出典:渋谷ダクトサービス)

次に、エアコンの修理費用の問題です。全館空調は、エアコンと換気が一体になっているので、エアコンが壊れると換気も止まります。つまり、エアコンが壊れたらすぐに修理しなくてはならないのですが、問題はその費用です。

家全体を賄う大容量のエアコンであり、かつ家の内部に格納されているので、かなりの修理費用になることが想定されます。なので結局、壁掛けエアコンにしようとなる方が多いのではないでしょうか?壁掛けエアコンにしてしまえば、換気も止まってしまいます。

住み始めた瞬間は快適かもしれませんが、その後のメンテナンスのことを考えると、ほぼメリットを感じない全館空調。それでもなぜ住宅会社は全館空調を薦めてくるのでしょうか?

全館空調を扱う企業から見る業界の事情

家の性能が低い住宅会社ほど、全館空調を薦めてくる傾向があると感じています。鉄骨系の大手ハウスメーカーがまさにこれに当たりますね。全館空調を採用していると言うと、知識がない施主に対して、最先端の家!とイメージを持たせることができるからではないでしょうか。

また、全館空調を扱っている住宅会社の営業ほど、換気に関する知識が驚くほどに低いという傾向を感じます。二酸化炭素濃度の問題点はもちろんのこと、平成15年の換気基準の改訂のことすら知らない営業が多いのが事実です。時々勉強のために展示場を訪れて、住宅営業の知識レベルを確認していますが、こんな知識のない営業が全館空調を扱うのは危険すぎると感じます。

本当の最先端はどこに向かっているのか?

窓・断熱・気密・換気への知見がある住宅会社は、全館空調に取り込んでいないと感じます。全館空調より壁掛けエアコンの方が高性能だと知っていますし、効果が低い割にメンテナンス性の悪い全館空調を導入するメリットが少ないことは、あまり深く考えなくてもわかってしまうからではないかと思います。

今、空調の最先端の研究は、暖房は床下暖房、冷房は屋根裏エアコンへ進んでいます。暖かい空気は上にいき、冷たい空気は下にいく原理を使った理にかなった方法です。ただ、床下暖房は二階まで十分に暖まらない課題があったり、屋根裏エアコンは逆結露のリスクと導入費用の高さの課題があったり、とまだまだ研究途上と言えます。

空調のコラムでも紹介しますが、皆さんが思っている以上に、壁掛けエアコンは性能が高く、性能の割りにかなり安いです。なので、基本的には壁掛けエアコンをうまく活用するという方向で良いかと思います。空調のコラムで、詳しく書きたいと思います。

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プロデューサー紹介

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日本の家づくり 強化ディレクター

瀬山 彰

筑波大学理工学群数学専攻卒(数理統計学士号)。硬式野球部に所属し、首都大学野球リーグの線形回帰分析を行う。中学高校の数学教員免許を取得。

筑波大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードを確立することを目標に掲げる。

2015年、「家づくり せやま学校」を開校。“日本の施主を強くする”を合言葉に、施主の知識向上を目的とした講演活動をスタートさせた。「展示場では絶対教えてくれない話が聞けた!」「こんな楽しい授業は初めて!」など、口コミでせやま学校の評判が広がり、各メディアからも注目が集まっている。

関西を中心に年間100件以上の講演をこなしながら、雑誌コラムの連載やFMラジオ局「FMOH!」にて冠番組のDJを務めるなど、活躍の場を広げている。

中学高校数学教員免許、宅地建物取引士、2級FP技能士。3人娘(双子4歳、2歳)。広島県出身、広島カープファン。

【メディア出演】
◾️FMOH!85.1 毎週火曜19:00〜
「瀬山彰 NEXT STANDARD LIFE」
◾️子育て情報誌 「まみたん」対談連載
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