家の性能 徹底解説

2020.08.21

安全な「基礎工事」の選び方3つのポイント|布基礎?べた基礎?【地震・シロアリ・災害対策②】

地盤の次は、家の足元「基礎工事」について解説していきましょう。見極めるポイントを3つご紹介します。

安全な「基礎工事」の選び方3つのポイント|布基礎?べた基礎?

「布基礎VSベタ基礎問題」の勘違い

布基礎とベタ基礎、どちらがいいのか?という問題ですが、答えは「家の構造による」です。

鉄骨住宅の場合は、家の荷重が一部に集中するため布基礎の方が適しています。一方、木造住宅の場合は、家の荷重が全体に分散するので、不同沈下を防ぐためにはベタ基礎が適しています。なので、構造に応じて、最適な基礎形状を選んでいくのが正解ということですね。

この記事では、木造住宅における「ちょうどいい塩梅の基礎工事」を解説していきます。

【結論】ちょうどいい塩梅の『基礎工事』は?

基礎形状  ⇒ ベタ基礎(木造の場合)
強度    ⇒ 耐震等級2
基礎の高さ ⇒ 45cm以上

※ちょうどいい塩梅の「●●」とは・・・やりすぎずやらなさすぎず。建材のレベルは、ある一定まで上がるとそれ以降は費用対効果が悪くなるので、その手前(最も費用対効果が高いところ)で止めましょう、という“ちょうどいい塩梅主義”に基づいてセレクトされた推奨レベル。

基礎工事の種類

基礎は、建物の重さに耐え、建物の重さを地盤へ均等に伝える役割を担います。基礎工事の種類は主に、冒頭に紹介した通り、布基礎とベタ基礎の2種類です。

<布基礎とベタ基礎の違い>
布基礎とベタ基礎の地面にかかる荷重の違い
(出典:SUUMOジャーナル

・布基礎
柱や壁の部分の下にだけ基礎をつくる工法。基礎がない部分は土むき出しか、防湿コンクリートを打設。防湿コンクリートを打設する場合は、一見ベタ基礎に見えますが、底面に配筋はなく、構造上は布基礎となります。

鉄骨住宅の場合は、家の荷重が一部に集中するため、布基礎になることが多いです。

<防湿コンクリート打設を行った、一見ベタ基礎に見える布基礎>
防湿コンクリート打設を行った、一見ベタ基礎に見える布基礎
(出典:お金で失敗しない家づくり

・ベタ基礎
底面全体にも、まんべんなく配筋有のコンクリート打設を行う工法。布基礎に比べるとコストが上がりますが、価格の安い建売住宅等でも、ベタ基礎が一般的になってきています。

<底面にも配筋有のコンクリートを打設するベタ基礎>
地盤改良工事が抑えられるベタ基礎

基礎工事は「ベタ基礎」を推奨する理由(木造住宅の場合)

ちょうどいい塩梅の「基礎工事」は、ベタ基礎です。(※木造住宅の場合に限ります)

布基礎だと、地盤の設置面が「点」であるため、荷重が集中してしまい、不同沈下しやすくなります。一方、ベタ基礎だと、地盤との設置面が「面」であるため、荷重が分散され、不同沈下しにくくなります。

スキーのストックとスキー板を思い浮かべてください。ストックは「点」なので、グサッと雪に刺さりますが、スキー板は「面」なので、すーっと滑っていきます。これを家に置き換え、ストック⇒布基礎、スキー板⇒ベタ基礎、と考えれば、原理は同じ。

布基礎とベタ基礎の違いは、スキーのストックと板と似ている

また、ベタ基礎にすることで、地盤改良工事費用を抑えることもできます。地盤調査の結果、「布基礎なら地盤改良工事が必要だが、ベタ基礎なら地盤改良工事不要」となることが良くあります。不同沈下しにくいベタ基礎ならではメリットですね。

さらに、ベタ基礎は布基礎に比べるとシロアリの侵入路が少なく、シロアリ対策にもなります。ただし、「ベタ基礎にすればシロアリ被害は出ない」というのは嘘で、ベタ基礎でもシロアリ対策は必要だということは頭に入れておきましょう。詳しくは、シロアリ対策の記事で解説します。

関連記事:新築時の正しいシロアリ対策|防蟻剤だけではシロアリ被害を防げない

耐震等級2、基礎高45cm以上を推奨する理由

耐震等級については地震対策の記事で、基礎の高さについては災害対策の記事で詳しく解説しますので、ここでは簡単に触れておきます。

・耐震等級2を推奨する理由
基礎の強度計算が義務になるためです。逆に耐震等級1だと、外部チェックが行われず、設計士任せになってしまうので、不安が残ります。耐震等級3にするかどうか?は予算に応じて検討を。詳しくは地震対策の記事で解説しますが、ちょうどいい塩梅は耐震等級2です。

関連記事:本当に必要な4つの「地震対策」|耐震等級だけでは不十分!

・基礎高を45cm以上を推奨する理由
45cm以下の浸水による床下浸水は、水災保険が適用されないためです。基礎高を45cm以上にしておくことで、万が一に床下浸水した場合に水災保険を適用することができます。45cm以下の浸水での床下浸水を防ぐには、基礎の全開口をふさぐ必要があるので、詳しくは災害対策の記事で解説しますね。

関連記事:災害に強い新築住宅を建てる方法|火災・水災・風災から家族を守るために

『大手ハウスメーカーの多くは布基礎ですよね?なぜ?』に対して

冒頭でも触れた通り、鉄骨住宅は家の荷重があるため、布基礎が適しています。シロアリ対策として、底面は地面むき出しではなく、布基礎+土間コンクリートという施工をする会社が増えていますね。

一方、木造住宅で布基礎を採用している会社の狙いは、不明です。無料で地盤調査を行い「不同沈下リスクがあるので、ベタ基礎にした方が良いですよ」と、ベタ基礎へのオプション変更を提案してくる会社もあります。

営業的には親切な営業マンを演出できて良いのかもしれませんが、最初からベタ基礎にしておけよ!と言いたいですね。

不安をあおって親切心で寄ってくる信頼できない営業マン

『他に基礎工事でチェックするポイントは?』に対して

いくつかありますが、ちょうどいい塩梅の基礎を意識してもらえれば、おおむねクリアできますので、ここまで詳しく知らなくても大丈夫です。一応書いておきますね。

・配筋
配筋の種類は、シングル配筋/ダブル配筋、配筋ピッチは300mm/200mm/150mm…とタイプがあります。最低限クリアすべき目安は、シングル配筋/200mmピッチですが、耐震等級2を取得するために必要な配筋量にしてもらえればOKです。

・底板の厚み
国の基準は12cm以上ですが、15cmが目安。

・立ち上がりの厚み
国の基準は12cm以上ですが、15cmが目安。

基礎工事の配筋は、シングル配筋+200mmピッチを安全ラインの目安とする

【結論】ちょうどいい塩梅の『基礎工事』は?

基礎形状  ⇒ ベタ基礎(木造の場合)
強度    ⇒ 耐震等級2
基礎の高さ ⇒ 45cm以上

※ちょうどいい塩梅の「●●」とは・・・やりすぎずやらなさすぎず。建材のレベルは、ある一定まで上がるとそれ以降は費用対効果が悪くなるので、その手前(最も費用対効果が高いところ)で止めましょう、という“ちょうどいい塩梅主義”に基づいてセレクトされた推奨レベル。

プロデューサー紹介

master

日本の家づくり 強化ディレクター

瀬山 彰

筑波大学理工学群数学専攻卒(数理統計学士号)。硬式野球部に所属し、首都大学野球リーグの線形回帰分析を行う。中学高校の数学教員免許を取得。

筑波大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードを確立することを目標に掲げる。

2015年、「家づくり せやま学校」を開校。“日本の施主を強くする”を合言葉に、施主の知識向上を目的とした講演活動をスタートさせた。「展示場では絶対教えてくれない話が聞けた!」「こんな楽しい授業は初めて!」など、口コミでせやま学校の評判が広がり、各メディアからも注目が集まっている。

関西を中心に年間100件以上の講演をこなしながら、雑誌コラムの連載やFMラジオ局「FMOH!」にて冠番組のDJを務めるなど、活躍の場を広げている。

中学高校数学教員免許、宅地建物取引士、2級FP技能士。3人娘(双子4歳、2歳)。広島県出身、広島カープファン。

【メディア出演】
◾️FMOH!85.1 毎週火曜19:00〜
「瀬山彰 NEXT STANDARD LIFE」
◾️子育て情報誌 「まみたん」対談連載
「THE PROFESSIONAL」

Copyright