• トップ
  • 家の性能 徹底解説
  • 地盤改良・基礎工事を住宅会社任せにしてはダメな理由|地盤改良費用を抑える方法【地震・災害・シロアリ対策①】

家の性能 徹底解説

2019.09.01

地盤改良・基礎工事を住宅会社任せにしてはダメな理由|地盤改良費用を抑える方法【地震・災害・シロアリ対策①】

家の不同沈下・地盤沈下

 

「過剰設計」の地盤改良工事と、「強度不足」の基礎工事が横行している

地盤保証会社(改良工事の内容を決定する会社)が、地盤改良工事会社(改良工事を施工する会社)と手を組んでいるので、「たくさん地盤改良工事をやったほうがみんな儲かる」という状態になってしまい、過剰設計の地盤改良が横行していると考えられます。

また、基礎工事は、いまだに不同沈下のリスクが高い「布基礎」が多く採用されています。鉄骨住宅の場合は、家の荷重が重いため、布基礎の方が適している面もありますが、木造住宅で「布基礎」を採用するメリットはほぼありません。

<過剰設計の地盤改良工事、強度不足の基礎工事を回避しよう!>
過剰設計の地盤改良工事、強度不足の基礎工事は回避したい

 

【結論】ちょうどいい塩梅の『地盤改良工事・基礎工事』は?

ちょうどいい塩梅の「地盤改良工事・基礎工事」は、以下の通りです。

①地盤改良工事 ⇒ 地盤保証10年を受けられる工事
②基礎工事 ⇒ ベタ基礎 ※木造の場合
※基礎配筋は、シングル配筋/200mmピッチを推奨

※ちょうどいい塩梅の「●●」とは・・・やりすぎずやらなさすぎず。建材のレベルは、ある一定まで上がるとそれ以降は費用対効果が悪くなるので、その手前(最も費用対効果が高いところ)で止めましょう、という”ちょうどいい塩梅主義”に基づいてセレクトされた推奨レベル。

①地盤改良工事は、なぜ必要か?

地盤改良工事は、不同沈下を防ぐために行います。不同沈下より、地盤沈下という言葉が一般的かもしれませんが、地盤沈下はどんな家でも起きますし、大きな問題ではありません。地盤沈下は、全体が均一に沈下する現象を指します。

問題なのは一部だけが沈んでしまい、家が傾いてしまう不同沈下です。これを防ぐために、地盤改良工事を行うわけです。

本当に怖いのは地盤沈下ではなく不同沈下
(出典:All About)

 

地盤保証は、なぜ必要か?

地盤保証の必要性について、簡単に触れておきます。

現在の日本には、「瑕疵担保責任制度」という新築住宅を建てた消費者を保護する制度があり、家が完成してから10年間は、「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」に不具合(瑕疵)があった場合、住宅会社に責任をとらせることができます。

しかし、木造住宅の場合、対象となる部分は基礎までで、地盤改良工事部分までは保証されません。もし、地盤改良工事に不具合があった場合に、瑕疵担保責任制度は活用できないため、瑕疵担保責任制度とは別に、地盤改良工事の不具合に備える保険(地盤保証)が必要になるのです。

住宅会社に瑕疵担保責任を追及できる部分は意外と限られている
(出典:国道交通省)

 

地盤改良工事は「地盤保証10年が受けられる工事」で十分な理由

地盤保証には、10年タイプと20年タイプがありますが、地盤保証10年タイプで十分と考えます。また、同じ地盤保証10年でも、地盤保証会社によって地盤改良工事の程度が変わってきますが、地盤保証10年が受けられるなら、最も安価な工事内容で十分と考えます。

理由はシンプルに、不同沈下の発生確率がさほど高くないからです。複数の地盤保証会社への聞き取り調査によると、不同沈下の保証が適用される確率は、約10,000棟に1棟。この数字を、多いとみるか少ないと見るかは、個人の判断ですが、過度にお金をかけて対策すべき数字には見えません。

当然ですが、「地盤改良は、お金をかけてでもしっかりやっておきたい」「なんとなく心配」という方は、コストUP以外にデメリットはありませんので、20年保証や入念な改良工事を検討してもらってOKです。

<地盤保証10年が受けられれば十分>
地盤保証10年が受けられればそれで十分
(出典:ジャパンホームシールド)

「地盤改良工事会社・地盤保証会社の選び方は?」に対して

地盤改良工事会社は、住宅会社ごとに決まっていることが多いので、施主が選べるものではありません。一方、地盤保証会社は、施主が選択できることがあるので、知識をつけておきましょう。地盤改良工事費用の削減ポイントです。

地盤保証会社の種類は、大きく二つに分かれます。どちらが良いか?の正解はなく、個人の考え方によりますが、”ちょうどいい塩梅主義”の考えに基づいて考えるならば、Bタイプ推奨という結論になります。

A 地盤改良工事を行う会社が決まっている地盤保証会社
B 地盤改良工事を行う会社を自由に選べる地盤保証会社

Aの地盤保証会社は、地盤改良工事会社からバックマージンをもらっており、なるべく地盤改良工事をしたいと考えますので、良く言うと「余裕のある設計」に、悪く言うと「過剰設計」になりがちです。なので、多少費用が掛かっても、地盤改良はしっかりやっておきたい人に向いています。

以下企業のように、登録企業一覧がHPに掲載されているのが、Aタイプの地盤改良工事を行う会社が決まっている地盤保証会社です。

地盤改良工事会社を紹介するタイプの地盤保証会社
(出典:一般社団法人ハウスワランティ)

一方、Bの地盤保証会社は、地盤改良工事からバックマージンをもらわないので、よく言えば「無駄のない適正な設計」に、悪く言えば「保証を出せるぎりぎりの設計」になりやすいと言えます。なので、不同沈下の確率も低いし、10年保証が受けられるならそれでいいと考える人に向いています。

以下企業のように、地盤改良会社を紹介しないことをPRしているのが、Bタイプの地盤改良工事を行う会社を自由に選べる地盤保証会社です。

地盤改良工事会社を紹介しないタイプの地盤保証会社
(出典:地盤ネット)

<追記>上記会社は、地盤と関係ないところでニュースになってしまいましたね・・・

 

「そもそも、強い地盤の土地を探す方法はないの?」に対して

地盤改良に頼るのではなく、そもそも強い地盤を探したほうが良いに決まっていますが、便利な場所というのは、標高の低い平地が多く、地盤が悪い可能性が高いです。つまり、便利な場所と強い地盤は矛盾する傾向があるので、強い地盤にこだわりすぎると、土地探しが前に進まなくなるという点は、ご注意ください。

・地盤データ閲覧サービスを使う
住宅会社や不動産会社が、地盤データ閲覧サービスに登録していれば、近隣の地盤データを閲覧することができます。個人情報の関係で、ピンポイント住所での検索はできませんが、おおよそ近隣の地盤状況を把握することはできます。

<土地購入前に、近隣の地盤状況の確認を>
近隣の地盤調査データを閲覧できる情報サイト
(出典:ジャパンホームシールド)

・昔の土地状況を確認する
様々なアプリで、昔の地形や用途を調べることができます。

以下、「スーパー地形」というアプリの画像ですが、明治期の低湿地の状況などが、リアルに把握できます。ここまでマニアックにやるかどうかはさておき、ツールの進化はすごいですね。このアプリ、一日眺めていられます。

<明治期の低湿地>
土地探しお役立ち情報(明治期の低湿地)
(出典:スーパー地形)

②基礎工事の種類

基礎は、建物の重さに耐え、建物の重さを地盤へ均等に伝える役割を担います。基礎工事の種類は主に、布基礎とベタ基礎の2種類です。

・布基礎
柱や壁の部分の下にだけ基礎をつくる工法。基礎がない部分は土むき出しか、防湿コンクリートを打設する場合があります。この場合だと、一見ベタ基礎に見えますが、底面に配筋はなく、構造上は布基礎となります。鉄骨住宅の場合は、家の荷重が重いため、布基礎になることが多いです。

<防湿コンクリート打設を行った、一見ベタ基礎に見える布基礎>
防湿コンクリート打設を行った、一見ベタ基礎に見える布基礎
(出典:お金で失敗しない家づくり )

・ベタ基礎
底面全体にも、まんべんなく配筋有のコンクリート打設を行う工法。布基礎に比べるとコストが上がりますが、価格の安い建売住宅でも、ベタ基礎が一般的になってきています。

<底面にも配筋有のコンクリートを打設するベタ基礎>
地面への荷重が分散され、湿気やシロアリ対策としても有効なベタ基礎

基礎工事は「ベタ基礎」を推奨する理由 ※木造住宅の場合

布基礎だと、地盤の設置面が「点」であるため、荷重が集中してしまい、不同沈下しやすくなります。一方、ベタ基礎だと、地盤との設置面が「面」であるため、荷重が分散され、不同沈下しにくくなります。

布基礎とベタ基礎の地面にかかる荷重の違い
(出典:SUUMOジャーナル)

スキーのストックとスキー板を思い浮かべてください。ストックは「点」なので、グサッと雪に刺さりますが、スキー板は「面」なので、すーっと滑っていきます。これを家に置き換え、ストック⇒布基礎、スキー板⇒ベタ基礎、と考えれば、原理は同じです。

布基礎とベタ基礎の違いは、スキーのストックと板と似ている

また、ベタ基礎は、布基礎に比べるとシロアリ侵入路が少なく、シロアリ対策にもなります。ただ注意しておいてほしいのは、「ベタ基礎にすればシロアリ被害は出ない」というのは嘘で、ベタ基礎でもシロアリ対策は必要だということは頭に入れておきましょう。詳しくは、シロアリ対策の記事で解説します。

 

「大手ハウスメーカーの多くは布基礎ですよね?なぜ?」に対して

鉄骨住宅は、家の荷重があるため、布基礎の方が向いているという面があるからだと思われます。シロアリ対策として、底面は地面むき出しではなく、土間コンクリートを施工することがほとんどかと思います。

木造住宅で布基礎を提案してくる会社は、???です。無料で地盤調査を行い「不同沈下リスクがあるので、ベタ基礎にした方が良いですよ」と、ベタ基礎へのオプション変更を提案してくる会社もあります。

営業的には親切な営業マンを演出できて良いのかもしれませんが、最初からベタ基礎にしておけよ!と言いたいですね。

不安をあおって親切心で寄ってくる信頼できない営業マン

「他に基礎工事でチェックするポイントは?」に対して

配筋も確認しておきましょう。配筋の種類は、シングル配筋/ダブル配筋、配筋ピッチは300mm/200mm/150mm、とタイプがあります。

やればやるだけ性能は上がりますが、安心ラインとしては、シングル配筋/200mmピッチを目安にしてください。予算に余裕があれば、さらなるグレードupを検討してもらってOKです。

基礎工事の配筋は、シングル配筋+200mmピッチを安全ラインの目安とする

 

まとめ:ちょうどいい塩梅の『地盤改良工事・基礎工事』は?

ちょうどいい塩梅の「地盤改良工事・基礎工事」は、以下の通りです。

①地盤改良工事 ⇒ 地盤保証10年を受けられる工事
②基礎工事 ⇒ ベタ基礎 ※木造の場合
※基礎配筋は、シングル配筋/200mmピッチを推奨

プロデューサー紹介

master

日本の家づくり 強化ディレクター

瀬山 彰

筑波大学理工学群数学専攻卒(数理統計学士号)。硬式野球部に所属し、首都大学野球リーグの線形回帰分析を行う。中学高校の数学教員免許を取得。

筑波大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードを確立することを目標に掲げる。

2015年、「家づくり せやま学校」を開校。“日本の施主を強くする”を合言葉に、施主の知識向上を目的とした講演活動をスタートさせた。「展示場では絶対教えてくれない話が聞けた!」「こんな楽しい授業は初めて!」など、口コミでせやま学校の評判が広がり、各メディアからも注目が集まっている。

関西を中心に年間100件以上の講演をこなしながら、雑誌コラムの連載やFMラジオ局「FMOH!」にて冠番組のDJを務めるなど、活躍の場を広げている。

中学高校数学教員免許、宅地建物取引士、2級FP技能士。3人娘(双子4歳、2歳)。広島県出身、広島カープファン。

【メディア出演】
◾️FMOH!85.1 毎週火曜19:00〜
「瀬山彰 NEXT STANDARD LIFE」
◾️子育て情報誌 「まみたん」対談連載
「THE PROFESSIONAL」

Copyright