家の性能 徹底解説

2019.07.29

外壁のメンテナンス費用を安くするコツ|外壁材・シーリングの選び方【メンテナンス性能①】

メンテナンス費用を抑えるには建材の選び方が大切

「住宅会社の●●年保証」と「建材メーカーの●●年保証」の違いが重要

メンテナンスと言えば「●●年保証」をイメージする方が多いと思いますが、「住宅会社の●●年保証」と「建材メーカーの●●年保証」には大きな違いがあります。この違いを理解しないと、住宅会社の思うツボになるので、冒頭に解説しておきます。

<長期保証制度と聞けば、イメージは良いが・・・>

(出典:SUUMO)

まず「住宅会社の●●年保証」は、ほぼ意味ないです。実質、施主に全てを負担させ、住宅会社はリスクを背負わず、なんとなくの安心を演出する住宅会社の営業戦略と言えます。全てではないですが、「住宅会社の●●年保証」は、だいたいこんな感じ。

完成から10年後に有料メンテナンス工事をしてくれたら、次の10年保証を延期します。20年後に有料メンテナンス工事をしてくれたら、また次の10年保証を延期します。それを繰り返して最大●●年まで保証します。もし有料のメンテナンス工事をしなければ、保証は打ち切ります・・・

10年ごとにちゃんと工事すれば、そりゃ保証できるでしょって話。しかも、それを施主の負担でやるんだから、住宅会社の保証でも何でもありません。そして、メンテナンス工事を行うのは、もちろん住宅会社のグループ会社限定で、相見積もりはとれないので、金額交渉もできません。

<住宅会社の●●年保証には、”メンテナンス工事をした場合”という条件がつく>
30年保証などの長期保証は有料のメンテナンス工事が条件
(出典:某住宅会社A)

有償メンテナンスが必要と小さい文字で書いてあることが多い
(出典:某住宅会社B)

30年保証は有料のメンテナンス工事が条件になっている
(出典:某住宅会社C)

一方、「建材メーカーの●●年保証」は、建材選びの参考になります。メーカーの保証は、無難な年数(まず壊れないであろう年数)に設定されています。例えばテレビのメーカー保証は、だいたい1年です。1年では、まず壊れないですよね?

また、建材メーカー保証年数は、製品の質に比例しています。同じメーカーの製品でも、保証無・10年保証・15年保証・・・とあります。「建材メーカーの●●年保証」は、製品の質に比例、かつ無難な設定になっているので、建材選びの参考になるというわけです。

<建材メーカーの保証年数は、製品の質に伴って長くなる>
基本グレード 15年保証のグレード 30年保証のグレード
(出典:ニチハ)

 

【結論】ちょうどいい塩梅の『外壁』は?

ちょうどいい塩梅の「外壁」は、以下の通りです。

①外壁材 ⇒ 15年保証の窯業系サイディング(セルフクリーニング機能付)
②シーリング ⇒ 15年保証の高耐久シーリング

※ちょうどいい塩梅の「●●」とは・・・やりすぎずやらなさすぎず。建材のレベルは、ある一定まで上がるとそれ以降は費用対効果が悪くなるので、その手前(最も費用対効果が高いところ)で止めましょう、という”ちょうどいい塩梅主義”に基づいてセレクトされた推奨レベル。

 

①外壁材の種類

まずは、外壁材の種類を、ざっと解説します。

外壁にはどんな材料が使われているか?割合
(出典:外壁塗装110番)

・窯業系サイディング
最も一般的な外壁材ですね。メリットは、デザイン性・メンテナンス性・コストなど、全体バランスが良いことがあげられます。

デメリットは、外壁表面の汚れ対策やシーリングの選び方を間違えると、メンテンナンス費用がかさむことです。窯業系サイディングの中でも、種類がたくさんあるので、細かい選び方は、後半でご紹介します。

日本で最も使われている窯業系サイディング

・モルタル塗り
メリットは、デザインでしょう。デザインにこだわる方が、モルタル塗りを好む傾向があるように思います。デメリットは、初期コストとメンテナンス費用の高さです。デザインと引き換えになるので、何を優先するか?という判断になってきます。

メンテナンス費用はかかるがデザインで選ばれるモルタル塗りの壁

・金属サイディング
昔はデザインがダサかったので敬遠されていましたが、最近はラインナップが増えて、少しずつ人気がでています。メリットは、デザイン性・断熱性・軽さによる施工のしやすさです。

一方、デメリットは、サビや部分交換の難しさなどのメンテナンス性の悪さです。外壁は、窓などの「穴が開いている部分」が多いので、どうしても切り口が多くなってしまい、そこからサビが発生してしまうリスクが高まります。

多少難点があるが少しずつ人気がでているガルバニウム金属サイディング

・ALC
メリットは、防火性・断熱性です。デメリットは、なんといっても、表面塗膜が落ちると急激に水に弱くなることです。形状がスポンジ状になっていますので、塗膜のメンテナンスの意識を強く持っておく必要があります。

・タイル
メリットは、基本的に表面汚れに関するメンテナンスが不要だということです。

デメリットは、初期費用の高さと耐震性ですね。下地の種類によっては、地震によって落下する恐れがあります。また、タイルといえど、下地や窓回りにはシーリングが必要なので、シーリングの選び方には注意してください。

下地や目地シーリングに注意が必要なタイル外壁

 

「15年保証の窯業系サイディング(セルフクリーニング機能付き)」を推奨する理由

以下、外壁材のメリット・デメリットをまとめました。

外壁材のメリット・デメリットの比較一覧

モルタル塗りは、デザイン性は高いですが、初期コストの高さと10年に1回程度のメンテナンスは避けられません。

金属系サイディングは、窯業系サイディングの次にバランスのとれた外壁材と言えます。もう少しコストが下がってくるといいですね。

タイルは、初期コストが高い点と、下地やシーリングの選び方次第でメンテナンス費用がかさんでしまう点が懸念です。良い材料なので、予算に余裕があれば、検討してみてください。

ALCは、メンテナンスをしなかった場合の雨漏りリスクが高いことが懸念です。断熱性能のメリットがありますが、これは断熱材で補完できるので、外壁材の断熱性能にそこまでこだわる必要性はないと考えます。

<モルタル塗りは表面汚れが目立つ>
塗装が剥げて傷んでしまったモルタル塗りの外壁

ということで、どの外壁材も一長一短がありますが、窯業系サイディングが、最もバランスのとれた外壁材と言えます。ただし、窯業系サイディングは、タイルに比べて、表面汚れが付きやすいので、「セルフクリーニング機能」と「15年保証」が必要です。

 

「セルフクリーニング機能」と「15年保証」の必要性

窯業系サイディングなら何でも良いというわけではなく、表面汚れの対策「セルフクリーニング機能」が必要です。

15年保証の窯業系サイディング(セルフクリーニング機能付)であれば、およそ20年はノーメンテナンスで美観を維持することが可能です。もちろん、この15年保証は、「外壁材メーカーの保証」です。

ちなみに、塗膜保証30年のサイディングもありますが、コストがぐんと上がるので、”ちょうどいい塩梅主義”の考えに基づき、15年保証でとめておくのが賢明と考えます。

<セルフクリーニング機能付きの窯業系サイディング>
セルフクリーニング機能がついたサイディングの仕組み
(出典:ニチハHP)

セルフクリーニングの種類には、主に「水タイプ」と「光タイプ」があります。

「水タイプ」は、水がつかないと汚れが落ちないので、庇の下の部分などの雨が吹き込まない部分は、定期的に水をかけるなどの対策が必要です。「光タイプ」は、隣家の影などで光があたらないと汚れが落ちないため、立地によっては効果を十分に発揮しないので、住宅密集地では避けたほうが良いかと思います。

よって、汎用性が高いのは「水タイプ」と言えます。

 

『タイル=メンテナンスフリーではないの?』に対して

タイルが、優れた外壁材であることは間違いありません。基本的に表面汚れに関して心配がいらない点が、他の外壁材にはない特徴です。

ただし、タイル以外の部分のメンテナンスが必要になるので、安易にタイル=メンテナンスフリーと考えてはいけません。タイル以外の部分とは、シーリングや下地材などです。

タイル外壁材を採用する場合は、正確な施工はもちろん、適切なメンテナンスがされないと、タイル落下などの重大事故につながりますので、十分に注意してください。

下地が劣化し落下したタイル外壁材 
(出典:吉野聡建築設計室)

タイルは、”表面汚れ”に関しては基本メンテナンスフリーですが、”タイル外壁全体”がメンテナンスフリーではないということです。また、初期費用がそれなりに高いので、予算と相談しながら、採用するか決定してください。

剥がれて落下したタイル外壁材
(出典:吉野聡建築設計室)

 

『建材メーカーの保証も、あやしくないですか?』に対して

確かに、「建材メーカーの保証」も、免責事項や保証対象かどうかの判断にあいまいな部分はあります。何もかも保証していたら会社がつぶれますからね。なので、「建材メーカーの保証」も、100%信頼できる(年数以内だと絶対に保証してくれる)わけではありません。

しかし、「建材メーカーの保証」は、製品の質に比例するので、建材選びの基準として参考にすることは可能。営業戦略的な「住宅会社の●●年保証」ではなく、「建材メーカーの●●年保証」を参考にした方が、賢明な判断ができるんだと考えてもらえればと思います。

<100%信頼するのではなく、品質の基準として参考にするのが賢明>
建材メーカーの保証も100%信頼できるわけではない
(出典:神島化学)

 

②「15年保証の高耐久シーリング」を採用すべき理由

外壁の汚れ同様に、メンテナンス工事の原因になるのが、シーリング(コーキング)の劣化です。

シーリングにも素材別に様々な種類がありますが、素材の選択は専門業者が適切に行ってくれるので、施主が意識すべきは「シーリングメーカーの保証年数」です。

<シーリング選びは、外壁のメンテンナンス費用を抑える重要ポイント>
外壁で最初に劣化し始めるのがシーリング(コーキング)

通常のシーリングを選択すると、10年に1回程度のメンテナンスが必要になります。これを、「15年保証の高耐久シーリング」を選択することで、おおよそ20年はノーメンテナンスで美観を保つことが可能です。

<15年保証タイプと通常タイプの比較>
15年保証タイプのシーリングと通常タイプの劣化速度の違い
(出典:ニチハ)

通常シーリングから、「15年保証の高耐久シーリング」へのグレードアップ費用は、10万円以下でしょう(坪数による)。さらに、外壁材メーカー品ではなく、非外壁材メーカー品であれば、さらにコストは安いのでご検討を。

「15年保証の高耐久シーリング」を採用することで、メンテナンス期間が10年から20年に伸びるため、足場工事などのメンテナンス費用を考えると、十分元が取れるグレードアップと考えることができます。

<費用対効果の高い”非外壁材メーカー”の高耐久シーリング>
費用対効果が高い非外壁材メーカー品の高耐久シーリング
(出典:サンライズ)

 

『シーリングレス(コーキングレス)外壁材にすればいいのでは?』に対して

最近、シーリングが不要の「シーリングレス外壁材」が話題になっていますが、結論から言うと、おススメしていません。理屈上は確かに、シーリング不要のため、メンテナンス費用を削減できるのですが、問題は雨漏り対策・施工の難しさです。

シーリングレス外壁材は、目地がないため、「遊び」がありません。なので、精度の高い施工がなされないと、隙間ができてしまい、雨漏りの原因になるのです。また、家は沈んだり動いたりしますので、その動きによって隙間が生じるリスクがあります。

複数の外壁職人に「自分の家にシーリングレスの外壁材を採用するか?」と質問しましたが、全員「採用しない」との回答でした。どれだけ正確に施工しても、家の動きによって雨漏りにのリスクを抱えることは、得策ではないという判断のようです。

<シーリングレスの外壁材は魅力的だが、リスクもある>
雨漏りリスクがあり施工が難しいシーリングレス(コーキングレス)サイディング
(出典:ニチハHP)

まとめ:ちょうどいい塩梅の『外壁』は?

ちょうどいい塩梅の「外壁」は、以下の通りです。

①外壁材 ⇒ 15年保証の窯業系サイディング(セルフクリーニング機能付)
②シーリング ⇒ 15年保証の高耐久シーリング

 

プロデューサー紹介

master

日本の家づくり 強化ディレクター

瀬山 彰

筑波大学理工学群数学専攻卒(数理統計学士号)。硬式野球部に所属し、首都大学野球リーグの線形回帰分析を行う。中学高校の数学教員免許を取得。

筑波大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードを確立することを目標に掲げる。

2015年、「家づくり せやま学校」を開校。“日本の施主を強くする”を合言葉に、施主の知識向上を目的とした講演活動をスタートさせた。「展示場では絶対教えてくれない話が聞けた!」「こんな楽しい授業は初めて!」など、口コミでせやま学校の評判が広がり、各メディアからも注目が集まっている。

関西を中心に年間100件以上の講演をこなしながら、雑誌コラムの連載やFMラジオ局「FMOH!」にて冠番組のDJを務めるなど、活躍の場を広げている。

中学高校数学教員免許、宅地建物取引士、2級FP技能士。3人娘(双子4歳、2歳)。広島県出身、広島カープファン。

【メディア出演】
◾️FMOH!85.1 毎週火曜19:00〜
「瀬山彰 NEXT STANDARD LIFE」
◾️子育て情報誌 「まみたん」対談連載
「THE PROFESSIONAL」

Copyright