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家の性能 徹底解説

2019.07.25

換気システム選びに失敗すると室内の空気環境が悪化する理由|24時間換気システムの重要性【断熱・気密・換気性能④-1】

健康的で快適な住環境を実現する換気のイメージ

高気密高断熱住宅のデメリットが理解されていない

注文住宅を検討している人であれば、高気密高断熱住宅と聞くと、良いイメージが思い浮かぶと思います。冬暖かく夏涼しい、年中快適な住環境を実現する、と言った感じでしょうか。これはもちろん合っていますし、間違いありません。

しかし何事も、メリットばかりではありません。高気密高断熱住宅にもデメリットがあります。ほとんどの住宅会社が、高気密高断熱住宅のメリットばかりをPRし、デメリットの説明をしないので、施主自身はしっかりと理解してほしいところです。

高気密高断熱住宅のデメリットは、空気環境の悪化です。気密性能が高いので、空気の逃げ道がなく、適切な換気をしないと空気が淀みます。空気が淀むと、室内が臭くなり、酸素が薄くなり、ハウスダストが室内に溜まります。

このデメリットを解消するのが、正しい換気システム選びです。正しい換気システム選びの詳細は、次の記事から解説しますが、まずは換気システムの重要性を理解してもらえればと思います。

高気密高断熱住宅のメリットとデメリット

 

【結論】換気システム選びに失敗すると室内の空気環境が悪化する理由

換気システム選びに失敗すると室内の空気環境が悪化する理由は、以下の通りです。

①二酸化炭素濃度の上昇(酸欠状態)
換気システム選びに失敗すると、人間が出す二酸化炭素を室外に排出することができず、室内が酸欠状態になります。その結果、慢性的な睡眠不足や偏頭痛を引き起こします。

②ハウスダスト環境の悪化
換気システム選びに失敗すると、ダニの死骸などのハウスダストを室外に排出することができず、室内のダスト環境が悪化します。その結果、アレルギー疾患(花粉症、小児ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎など)の原因となり、家族の健康が損なわれます。

高気密高断熱住宅のデメリットの一つが「空気の悪さ(二酸化炭素濃度の上昇)」

 

①二酸化炭素濃度の上昇は、なぜ起きるか?

突然ですが、縁起でもない話をします。練炭自殺の手順を思い浮かべてください。

①目張りをする(気密化)
②練炭を焚く(一酸化炭素COを発生させる)

<練炭自殺のイメージ>
練炭自殺と高気密高断熱住宅のデメリットは同じ理屈
(出典:みんから)

 
目張りは、車の外に空気が漏れないように車の隙間を埋めていく作業です。隙間を埋めるということは、空気が外に漏れないように、車の気密性を高めるということです。

次に練炭を焚きますが、発生させるのは一酸化炭素(CO)です。気密化された車内で一酸化炭素を発生させると、車内にいる人は一酸化炭素中毒で死に至るというわけです。

勘のいい方は、すでにお分かりかもしれませんが、高気密高断熱住宅の高気密化は、練炭自殺の目張りと全く同じです。高気密化された家の中で、生活する人間が排出するのは、二酸化炭素(CO2)です。

練炭自殺の場合は、一酸化炭素(CO)でしたが、家の場合は二酸化炭素(CO2)です。つまり、空気の逃げ場のない高気密高断熱住宅の中で人間が暮らすと、二酸化炭素中毒(酸欠状態)になってしまうというわけです。

<高気密高断熱住宅には、酸欠リスクがある>

 

二酸化炭素濃度の上昇は、なぜ身体に悪いのか?

二酸化炭素(CO2)は、一酸化炭素(CO)ほど強い毒性はありませんが、確実に身体へ悪影響を及ぼします。まず、満員電車や、大人数がこもった会議室がでますか?の中にいる自分をイメージしてください。どんな症状がでますか?

<二酸化炭素濃度が高い家は、満員電車の環境に近い>
換気不足の高気密高断熱住宅は満員電車並みのひどい空気環境になる

気分が悪い、空気が悪い、息苦しい、頭が痛い、集中できない、こんな感じではないでしょうか?この症状こそが、二酸化炭素濃度の上昇(酸欠状態)による、身体への悪影響と考えてもらえばOKです。

酸欠状態になると、脳は生命維持のため、活動を抑えようとします。その結果、頭がぼーっとしたり、眠くなったりすると言われています。酸欠状態は、「脳のCPU下がる」なんて言い方もありますね。酸欠状態の主な症状は以下の通りです。

 
・睡眠の質が下がる
・頭がぼーっとする
・うとうと眠くなる
・疲れが取れない
・集中できない など
 
この中で家の二酸化炭素濃度が上昇する最大のデメリットは、「睡眠の質が下がる」ことです。ほぼ毎日家で寝ますよね?家の選び方を間違えると、その家に住む限り一生、毎日の睡眠の質が下がることが約束されてしまうことになります。絶対に避けねばなりません。

<3人に2人(約68%)は睡眠に何らかの問題を抱えている>

(出典:厚生労働省)

 

適正な二酸化炭素濃度の目安

では。どれくらいの二酸化炭素濃度を維持すれば、良いのでしょうか?少しマニアックな話ですが、大切な話なので、簡単に触れておきます。

結論から言いますと、【1000ppm以下】を維持することです。外気が450ppm前後ですので、外気の2倍強ほどですね。1000ppmくらいまでは、健康への悪影響はないとされています。

大きなオフィスビルなどに適用されている「ビル管理法」で規定されている二酸化炭素濃度も、1000ppm以下です。以下、二酸化炭素濃度と健康への影響の関係性です。

<二酸化炭素濃度が1000ppmを超えると、身体に悪影響が出てくる>
身の回りの二酸化炭素濃度の目安

(出典:NEWS PICKS 産業医/大室正志先生)

以外と身近に1000ppm以上になっていることが分かります。目に見えないだけで、確実に健康に影響しますので、高気密高断熱住宅を建てるとき、十分に注意したいものです。

では、2つ目のデメリットである、室内のハウスダスト環境の悪化について、説明していきましょう。

 

②ハウスダスト環境の悪化は、なぜ起きるのか?

これは、あまり説明しなくても良いかもしれませんね。ハウスダストは、換気によって外に排出されます。高気密高断熱住宅は、その名の通り、高気密で隙間が少ないので、換気をしない限り、ハウスダストが外に排出されないのです。

また、高気密高断熱住宅は人間のみならず、ダニにとっても住みやすい環境になってしまっているとも言えます。でもそれは仕方ないですよね?ダニを減らすために、人間がわざわざ住みにくい環境にするわけにはいきません。

<高気密高断熱住宅のデメリットは、ハウスダストの滞留>

高気密高断熱のデメリットである「ハウスダストがたまりやすい家」のイメージ
 

ハウスダスト環境の悪化は、現代人の身体を蝕んでいる

近年のアレルギー患者の増加は、住宅の高気密化が要因の一つと言われています。特に、空気環境と関係性の強い小児喘息(ぜんそく)は、高気密高断熱住宅が普及し始めた1980年代から、増加傾向にあることが見てわかります。

<小児ぜんそく患者は、年々増加している>
高気密高断熱住宅の普及とともに小児喘息(ぜんそく)の子供たちが増えている

アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎を持っている人が、新築の家に引っ越すと症状がひどくなるということもあり得るわけです。健康で快適な暮らしを求めて新しい家を建てたのに、アレルギー症状が悪化してしまっては本末転倒です。

昔の家は、低気密住宅だったため、ダニの死骸などのハウスダストが外に排出されていたと考えられています。しかし昔の家は夏熱く冬寒いですよね?それは別の意味で身体に悪いので、高気密高断熱にしつつ、デメリットを回避することが重要なのです。

<昔の家ならハウスダストの悩みは少なかったが、暑くて寒い・・・>
昔の家は、寒くて暑いが、ハウスダストのリスクは低かった。

 

高気密高断熱住宅のデメリットを解消する唯一の方法

この2つのデメリットを解消する唯一の方法が【適切な換気】です。

換気と言えば窓を開ければいいのですが、寒い冬や花粉の時期に窓を開けるわけには行きませんよね。就寝中に窓を開けっぱなしにすることもできません。

なので、適切な換気を行うためには、24時間換気システムの選び方が重要なのです。換気システムの選び方を間違えると、適切な換気がなされず、高気密高断熱住宅のデメリットに悩まされることになります。

<24時間換気システムのイメージ>
24時間換気システムのイメージ
(出典:マーベックス)

 

(余談)ナイチンゲールに学ぶ換気の重要性

ナイチンゲールと言う人物をご存知ですか?近代看護の母と呼ばれ、看護師の教科書である「看護覚書」を遺した人物です。そんなナイチンゲールが遺した「看護覚書」の冒頭に登場する言葉は、『保温と換気』です。

つまり、「身体を冷やさずに、新鮮な空気を体内に取り込み続けることが、健康の基本だよ!」とナイチンゲールは説いているわけです。ナイチンゲールは、クリミア戦争にて『保温と換気』を中心とした、病棟の環境改善に取り組み、野戦病院の兵士死亡率を激減させました。

現代というストレス社会で生きる私たちは、心身の健康の土台となる『保温と換気』の大切さを、今こそ改めて認識すべきではないかと思います。少し長くなったので、換気システムの選び方は、次の記事で解説します。

<『保温と換気』の重要性を説くナイチンゲール>

人間が健康的に暮らすために換気の重要性を唱えたナイチンゲール

プロデューサー紹介

master

日本の家づくり 強化ディレクター

瀬山 彰

筑波大学理工学群数学専攻卒(数理統計学士号)。硬式野球部に所属し、首都大学野球リーグの線形回帰分析を行う。中学高校の数学教員免許を取得。

筑波大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードを確立することを目標に掲げる。

2015年、「家づくり せやま学校」を開校。“日本の施主を強くする”を合言葉に、施主の知識向上を目的とした講演活動をスタートさせた。「展示場では絶対教えてくれない話が聞けた!」「こんな楽しい授業は初めて!」など、口コミでせやま学校の評判が広がり、各メディアからも注目が集まっている。

関西を中心に年間100件以上の講演をこなしながら、雑誌コラムの連載やFMラジオ局「FMOH!」にて冠番組のDJを務めるなど、活躍の場を広げている。

中学高校数学教員免許、宅地建物取引士、2級FP技能士。3人娘(双子4歳、2歳)。広島県出身、広島カープファン。

【メディア出演】
◾️FMOH!85.1 毎週火曜19:00〜
「瀬山彰 NEXT STANDARD LIFE」
◾️子育て情報誌 「まみたん」対談連載
「THE PROFESSIONAL」

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